経費精算では数百円の会議費まで確認するのに、役職者を何人も集める会議はワンクリックで設定できる。会社ではよくある話です。とはいえ、隠れた時間を全部拾って精密な原価計算を始めると、今度は計算そのものが仕事になります。まず会議中の人件費を出し、準備の重い会議だけ一段深く見る。それくらいが実務では続きます。
会議は、始まる前から人件費を使っている
会議のために資料を作り、数字を集め、関係者へ事前説明をする。オンライン会議でも、会議室の予約、機材の接続、画面共有の確認には時間がかかります。
とくに膨らみやすいのが、説明するためだけの資料です。意思決定に必要なのが背景、論点、選択肢、推奨案なら、まずテキストで足ります。見栄えの調整に30分、上司レビューで30分、指摘を直してまた30分。会議が始まる前に、別の会議一回分が消えていることも珍しくありません。
見えにくい時間を四つに分ける
- 資料作成・事前説明スライド、集計、レビュー、関係者への根回しに使った時間です。
- 移動・会議室・接続準備別フロアへの移動、会議室の準備、マイクや画面共有の確認を含みます。
- 中断と切り替え集中していた仕事を止め、会議後に元の作業へ戻るまでの時間です。
- 議事録・再説明・フォロー決定事項が曖昧なために起きる確認、欠席者への説明、宿題の再整理です。
中断時間は、全員一律に足さなくてよい
会議の前後に何分の切り替えコストがあるかは、仕事によって違います。集中作業中のエンジニアと、複数の調整を連続して行うマネージャーを同じ数字で扱うと、かえって分かりにくくなります。
ここを無理に「一人あたり前後15分」と決めると、急に計算ごっこになります。まずは「午前と午後の集中時間を細かく切っていないか」を予定表で見るだけで十分です。円に直しにくいものは、会議を同じ時間帯へ寄せられないか、という運用で改善した方が早いです。
三段階で見れば、計算は重くならない
まずツールで会議中の人件費を出します。日常の会議はここまでで十分です。
経営会議、全社会議、重要な商談など、準備負荷の大きい会議だけ追加します。
金額にせず、「この会議を待つことで意思決定が何日遅れるか」を見ます。
一番大きいのは、何も決まらないコスト
法務も経理も現場も揃ったのに「一度持ち帰ります」で終わり、翌週また同じ顔ぶれを集める。これが一番高くつきます。参加者が多くても、その場で重要な判断ができれば高い会議とは限りません。反対に、少人数の30分でも、結論も担当者も期限も残らなければ、翌週から利息のようにコストが乗ります。
会議の成果を売上や利益へ直接結びつけるのは難しくても、「何を決めたか」「誰がいつまでに動くか」は残せます。金額と同時に、この二つを確認すると費用対効果を判断しやすくなります。
会議の目的に対して、判断が一つでも前へ進んだか。
次の行動を担当する人が明確になっているか。
期限または次に判断する日が決まっているか。
削るのではなく、使った時間を説明できるようにする
会議削減をKPIにすると、必要な相談までチャットへ追い出されます。雑談、ブレスト、全員参加には、数字だけでは表しにくい価値があるからです。隠れコストを見つけても、反射的に会議をなくす必要はありません。
準備に時間をかける理由、全員を集める理由、対話のために余白を取る理由が説明できるなら、その時間は投資です。説明できない前後作業だけを一つずつ外へ出す。会議コストの可視化は、そのために使うくらいがちょうどよいと思います。