会議の予定を入れるとき、深く考えずに60分を選んでしまうことがあります。30分では短そう、途中で切れると面倒、せっかく集まるなら余裕を持ちたい。けれど、確保した時間は不思議なほど使い切られます。45分で議論が終わりそうでも、残り15分に別の話題が入り、結局ちょうど一時間になります。
60分は必要時間ではなく、カレンダーの初期値
目的から逆算して60分になった会議なら問題ありません。複数の重要論点を決める経営会議、難しい条件を詰める交渉、参加者同士の発散が目的のブレストには、まとまった時間が必要です。
見直したいのは、「いつも一時間だから」という理由だけで設定された会議です。予定を入れるときの単位が、そのまま組織の仕事の単位になっていないでしょうか。
長い一回より、短い会議を高頻度で回す
私は、早く終われば無駄が少なかったと考えます。30分で終わらなければ、論点と宿題を整理して次回へ回す。90分かけて一度に完成させるより、15分や30分の会議を短い間隔で置き、決定、実行、修正を繰り返す方が成果につながりやすいと感じています。
短い会議には締切が生まれます。今日決めることと、次回までに調べることを分けざるを得ないからです。長い会議では混ざりがちな「議論」と「作業」も切り離せます。
30分会議の基本配分
ゴールを一文で確認します。共有だけなのか、判断まで必要なのかを揃えます。
事前資料への質問と、判断に必要な不足情報だけを扱います。
選択肢、懸念、推奨案を比較し、決められる範囲を決めます。
誰が何をいつまでに行うか、次の会議が本当に必要かを確認します。
資料は事前に読む。会議で読み上げない
説明のためだけに人を集めると、資料作成にも会議にも時間がかかります。社内会議では、まずテキストで背景、論点、推奨案を書く。参加者は事前に読み、会議では説明の続きではなく、質問と判断から始めます。
以前、大企業、いわゆるJTCにいた頃は、写真や長い説明を入れた整ったスライドが好まれる場面もありました。いまは、社内会議のために凝ったスライドを作ることはほとんどありません。比較や図解が必要ならスライドを使う。文章で足りるなら、読みやすいテキストで済ませる。資料の見栄えより、判断に必要な情報へ時間を使います。
終わらなければ、次回に回してよい
「次回に回すと、もう一度集めるコストがかかる」という考え方もあります。そのとおりです。だから、何も決めずに機械的に持ち越すのではなく、今回決まったこと、不足している情報、次回決めることを残します。
宿題があるのに、その場で検索や資料修正を始めて全員が待つ方が高くつくこともあります。一度解散し、必要な人が準備してから短く再集合する。会議の外でできる作業を、会議から出す発想です。
雑談をしたいなら、雑談の時間をつくる
30分を標準にすることは、余白をなくすことではありません。雑談やブレストが必要なら、その目的の会議を明確に設定します。対話そのものに価値がある時間を、進捗会議の余り時間に押し込まない。目的が明確なら、結論がなくても参加者は納得できます。
会議時間には、社風が出る
予定どおり一時間使うことが丁寧とされる会社もあれば、決まった瞬間に終了する会社もあります。どちらが絶対に正しいという話ではありません。ただ、理由なく前例を引き継ぐのか、目的に合わせて時間を選び直すのか。その違いには、仕事の進め方がそのまま表れます。
まずは次に設定する会議を30分にしてみる。足りないと分かったら、その理由を確認する。会議時間は、組織の生産性を変える最も小さな実験になります。